BL小説を書いている墨谷佐和の覚え書き

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番外SS 「天使の自己主張」

  1. 2016.03.20(日) _00:59:40
  2. 商業SS
セシル文庫3月刊「王子と子育て~ベビーシッターシンデレラ物語」
3月18日に刊行していただきました。
お手元に届いている方もいらっしゃるでしょうか。
本当にありがとうございます。
心ばかりの感謝を込めまして、番外SSをアップさせていただきます。
サイトに載せようと思ったのですが、時間かかりそうなので(;゚Д゚)ブログに掲載します。

本編のその後……ですので、本編をお読みになってから読んでいただけますと幸いです。
ジェラルド殿下がちょっとヘタレた感じになっていたりします(;・∀・)
天使というのは、フランのことですね(ざっくりとした解説)
帯の「天使のおねだりには逆らえない」と対になるタイトルをと思ったのですが、
あんまり対になってないですね。はい……。

本当は春のJ.GARDENでペーパーにして配布したかったのですが、
せめてもの気分だけということでお楽しみいただけましたら嬉しいです。
SSは続きからどうぞ。
(18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください)



 
天使の自己主張 「王子と子育て~ベビーシッターシンデレラ物語」番外SS



  重厚なカーテンの隙間から差し込む朝陽に目を細め、瀬名はベッドから身を起こそうとした。
   結婚して、瀬名とジェラルドは同じ部屋で眠るようになった。フランの添い寝は続けているけれど、今まで通り寝室は別だ。だから、朝は早い時間に起きてフランの様子を見に行くようにしている。今日も、ジェラルドを起こさないようにそうっとベッドから抜け出そうとした……だが、強い力で肘を掴まれ、シーツの中へと連れ戻される。
「すみませんジェラルド……起こしてしまいましたか?」
  降り注いでくるキスの雨をかいくぐって謝ると、キスはさらに深くなった。
  唇を割られ、舌を絡め取られる。おはようのキスにしては濃厚すぎだ。
「ジェラ、ルド……っ」
  唇が離れる合間に、今度は異を唱える。だが、ジェラルドはとんでもないことを言った。
「昨夜、私を放っておいた責任を取ってもらおうか」
「責任って……」
「寂しかったんだからな」
  昨夜は、昼間にフランとピクニックに出かけたのでとても疲れていた。 だから、どうしても目を開けることができなかったのだ。 もちろん、触れてくる彼の指が心地よかったから……でもあるのだが。
  とは言うものの、昨夜のことを思えばバツが悪い。だが、明るいところで愛されるのは恥ずかしい。それに、フランのことも気になった。
「フランの様子を……見に行かないと……」
「いつもよりずいぶん早い時間だ。まだ熟睡している」
  言いながら、ジェラルドの手は瀬名のナイトウェアの中に潜り込んでくる。確かにいつもより早い時間なのだが、恥ずかしさのために、瀬名は尚もジェラルドから逃げようとした。
「でも、昨日は、あの、フランもすごく、疲れて……て、あっ、や……!」
  肌を撫でていた指先に、胸の粒を摘まれる。こんな甘い声をあげてしまったら負けなのに。
「フランが眠っている間くらい、私を優先してくれないか」
  ジェラルドは拗ねたように瀬名を軽く睨んだ。そうしながら、不埒な指先でくりくりと粒を捏ねることをやめようとしない。
「そんなこと……っ、あ……」
「恋敵になるのは、15年後くらいだと思っていたが」
  キスの合間に、真顔でそんなことを言う。前から思っていたが、ジェラルドは時々、本当に子どもっぽい。3歳の息子と張り合うなんて……。
  もちろん、それは瀬名に気を許しているからであって、そんな彼のことも瀬名は大好きだけれども――。
「瀬名、甘えさせて……」
  最愛の王子様にそんなことを言われたら、シンデレラは抗えるわけがない。



*******



「今朝はいつもよりゆっくりとお休みでしたね」
  朝食の席でアーサーに言われ、瀬名は内心、ドキリとした。フランが起きてくるのには間に合ったものの、早起きの瀬名にしては、確かに寝坊したと思われても仕方のない時間だった。結局、彼の腕の中で二度寝してしまったためだ。それに、どうしても気怠さが抜けない。
「昨日のピクニックで疲れちゃって……」
  内心、冷や汗もので答えると、アーサーは表情も変えず「具合が悪くなられたのかと思いまして」と、チラリとジェラルドの方を見た。
(この人は何でこう……!)
  彼の醸し出すこの独特の雰囲気には、おそらく慣れられることはないだろう……ジェラルドが涼しい顔でコーヒーを飲んでいるので、尚、いたたまれなさが倍増した。
「シェナ、おねつ?」
  フランが心配そうな顔で話に参加してくる。
「ううん、大丈夫だよ」
  慌てて笑顔を向けると、フランは「だいじょーぶ?」と繰り返した。
  その様子が愛しくて愛しくて、瀬名はフランをぎゅっと抱きしめる。
「大丈夫……フランがハグしてくれたら、どんな病気でもすぐに治っちゃうよ」
  ぎゅっと抱き返してくる金色の頭越しに、ジェラルドが笑っているのが見えた。今は愛しげに息子を見つめる父親の顔だ。
「じゃあ、ダディもお仕事をがんばれるように、瀬名とフランにハグして欲しいな」
  ジェラルドがハグし合う二人に手を差し出した時だった。
「ダディ、めっ!」
  可愛い顔の眉間を険しくして、フランはジェラルドに対峙した。
「シェナはフランのなのっ!」
  ジェラルドの苦笑が、心なしか引きつっているように見えるのは気のせいではない。
「フラン……」
「あのっ、ジェラルド……」
「揉めるのはあとでゆっくりなさってください。お車の準備ができております。外出のご準備を」
  淡々と、アーサーがその場を締めくくる。

  結論。
  天使の自己主張は手強い。







お読みいただき、ありがとうございました!
墨谷佐和

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